帰還 短編吸血鬼小説集
宮田 秩早
1,250円
購入可
1,500円(税込)
時代背景は古代から現代まで。
吸血鬼小説アンソロジーは多いけれど、この切り口はなかなか珍しいのではないでしょうか?
【目次】および作者
ミアネ オカワダアキナ …………5
吸血は食事じゃない、セックスとも違う……その欲望と「ぼく」はどう付き合えばよいのだろう。吸血が特別でなくなった「現代」、芸能学院に通う主人公の揺らぎの物語。
血潮観音 壱岐津礼 …………33
映画撮影のため鄙びた海辺の町に集められた俳優たち。宿を借りた旧家の美しい主と、旧知の仲の映画監督。海より来たる観音の伝承。潮の臭いとともに怪異が忍び寄る。
ラクササの果実 深夜 …………85
「語るのだ」……影絵劇の声に導かれて紡がれる果物売りトウェケの物語。熱夢の如きジャワの夜を彷徨う生首。その夜ごとの飛翔はトウェケの魂を解き放つ……!
蚊になった女 泡野瑤子 …………107
外務省大臣官房特務室所属、東堂渉。特殊事件の調査を請け負う彼が今回訪れたのはベトナムであった。現地邦人に頻発する貧血症状は新種の疫病か、あるいは……
汝、求めよ 永坂暖日 …………131
その武士(もののふ)は股肱の仲間とともに平泉の地に散った……はずだった。目覚めた男が見た遙かなる草原。そして男の渇望が、あらたな伝説の扉を開く。
羅刹仔 ミド …………155
少年僧ニマはダライ・ラマ十三世が滞在する五台山を訪れる。そこに兆す不穏な事件。チベットを巡る各国の欲望と悪意が、太古に封印されしものを解き放つ。
つれ吹き 海崎たま …………207
馬頭琴のうら寂しい響きを思わせる語りが朽ちた寺院跡に幽かに谺する。語る言葉が記すのは、身に刻まれた苦難の記憶。そしてその語りを聴くのはひとりの吸血鬼……
草原の伝説 宮田秩早 …………231
遊牧民バシキール族の勇者ウラルと、悪鬼の王となった兄、シュルガン。時を超えて繰り返される兄弟の確執。遊牧民の娘フマイの一矢は、彼らの宿命の鎖を断ち切れるか。
表紙イラスト・デザイン 氷上リホ